「マルスラン」徹底解説――今注目されるブドウ品種の歴史と中国での発展

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皆様、「マルスラン」というブドウ品種のワインは飲んだことがありますでしょうか?「マルスラン」は近年ワイン業界で注目を集める品種の一つで、JSA主催のソムリエとワインエキスパートのエクセレンス資格の試験では頻出問題になっていると聞いたことがもあります。それでは、今回は中国の「葡萄研究」の掲載している申延玲さんの文章に沿って、マルスランについて徹底解説いたします。

そもそもマルスランはどんなブドウ?

マルスランの写真

マルスラン(Marselan)はカベルネ・ソーヴィニヨングルナッシュの交配品種です。写真のような黒ブドウで、基本は赤ワインの醸造に使われています。中サイズの密な果房と小粒から中粒、非常に濃い紫色の果粒を持っています。また、ブドウの皮が厚く、タンニン分が多いです。

マルスランは灰色カビ病やうどんこ病に対して強い耐病性があり、また、乾燥地でもよく育つため、温暖化と気候変動の時代において、ますます注目度が高まるブドウ品種の一つです。

マルスランの起源地と沿革

  • 1961年、フランスのブドウ育種家ポール・トゥルネル博士によって、カベルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュの交配から開発されました。生まれたフランス南部の町マルセイヤン(Marseillan)にちなんで名付けられました。
  • 1990年12月、マルスランはフランスで品種審査を通過し、フランス農業・食料主権省の「栽培植物の育種に関する常任技術委員会(CTPS)」の品種名簿に登録され、植物品種保護権(PVRs)の保護を受けられるようになりました。
  • 1997年9月、フランスはマルスランを正式に推奨品種として登録しました。この品種は主にIGPワインに使用されています。フランス以外ではブルガリアもマルスランを推奨品種のリストに追加しました。
  • 2002年、世界初のマルスランワインが発売されました(のようです)。
  • 2008年、ラングドック地方シャトー・カンプラゼン(Château Camplazens)のマルスランで造られたワインが、2008年のDWWAで銀賞を受賞しました。
  • 2021年、マルスランはフランスの農業規制機関であるINAOによって、ボルドー・スペリオールとボルドーAOCワインに使用できると認定しました。
シャトー・カンプラゼンのマルスランワイン

現在、マルスランはフランスで既に6000haの栽培面積があり、主にランクドック・ルーショシ地方、ローヌ渓谷地方の南部やプロヴァンス地方にも栽培しています。アメリカのカリフォルニア州にも栽培しており、主にノースコースト(North Coast)に分布しています。それ以外はブルガリア、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイイスラエルなどの国にも栽培しています。

マルスランの中国での発展

  • 1999年、中国とフランスは「中仏協力によるブドウ栽培およびワイン醸造のモデル農場」という国家プロジェクトを締結しました。これが現在の中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)ワイナリーの前身です。このプロジェクトをきっかけに、中国でフランス原産のブドウ苗木、栽培と醸造技術、生産設備などを導入し始めました。
  • 2000年、中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)は正式に建設し始めました。
  • 2001年、中国農業部はフランスから初めて16品種21品系の接ぎ木苗を導入しました。その中にはマルスラン(Marselan C980系)も含まれており、栽培面積は2.25haで、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネに次ぐ規模でした。
  • 2004年、中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)は100%マルスランの単一品種ワインを醸造し、中国初のマルスランワインが誕生しました。所在地の河北省・懐来産区は、世界で2番目にマルスランワインをリリースした産地になります。
  • 2006年、山西省・太谷の怡園ワイナリー(Grace Vineyard)はマルスランを栽培し始めました。ボルドー品種以外に中国に適したブドウを探す試みとして、6年間にわたり栽培と醸造の実験を行った後、2015年に初の単一品種マルスラン「Tasya’s Reserve Marselan 2012」を発売しました。
  • 2009年、マルスランが寧夏・銀川に導入され、蒲尚ワイナリー(Domaine Pushang)などで栽培が開始されました。
  • 2012年、新疆ウイグル・焉耆の中菲ワイナリー(Château Zhongfei)がマルスランの栽培を開始しました。

それから10年以上、マルスランは中国各産地のテロワールに応じて、様々なスタイルのワインが生み出されています。近年全世界で受賞されたマルスランワインの中、中国産のものは8割から9割を占めています。マルスランは中国ワインの一枚看板になっています。

袁くんおすすめ、中国各産地の代表的なマルスランワイン

寧夏産地:亦濃ワイナリー(YiNong)「和頌」

  • 中国国内でもそこまで知られていないですが、香水のような強い香りで、最初に飲んだ時は本当に「妖艶」という言葉しか思い出さなかったです。
亦濃ワイナリー(Yi Nong)「和頌」

新疆ウイグル産地:天塞ワイナリー(TianSai)「T95」

  • 最初に飲んだ時に、真っ先に感じたのは教科書の「ビロードのようなタンニン」です。本当に滑らかで、果実味のたっぷりでした。ブドウは手摘み収穫した後、粒ごとに選別して、完熟のブドウ1500粒で1本のワインを造れるという大変手間をかけています。
天塞ワイナリー(Tian Sai)「T95」

山東産地:龍亭ヴィンヤード(LongTing Vineyard)「蘭」

  • ビオディナミ農法で造られたワイン、文字通りほんのり蘭の花のような香があります。
龍亭ヴィンヤード(LongTing Vineyard)「蘭」

河北産地:中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)「リザーブ・マルスラン」

  • 中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)のフラッグシップ的なワインです。中国の元祖マルスランとして、もはや次のレベルに達しています。ボルドーの格付けシャトーに負けない品質で、近いうちに国際で名を馳せるかもしれません。
中仏荘園(Domaine Franco-Chinois)「リザーブ・マルスラン」

山西産地:怡園ワイナリー(Grace Vineyard)「ターシャ リザーブ・マルスラン」Tasya’s Reserve Marselan

  • 中国2番目にマルスランを栽培したワイナリーとして、このワインは個人的に中国で最もコスパがいいマルスランです。JSポイント94点、非常にバランスが取れているワインで、先日ワイン友のオフ会でも高評価でした。ちなみにラベルの読みにくい「Tasya’s」はオーナーの娘の名前です。
怡園ワイナリー(Grace Vineyard)「ターシャ リザーブ・マルスラン」

マルスランで乾杯!

最後に、マルスランを生み出したポール・トゥルネル博士を記念するために、彼の誕生日でもある毎年の4月27日を「世界マルスランの日(World Marselan Day)」にしています。この日になったら世界各地のワインラバーと一緒にマルスランワインで乾杯しましょう。

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