千年以上ブドウ栽培の歴史を持つ、中国の辛口ワイン誕生の地
プロフィール
懐来(ファイライ)は華北地方の河北省張家口市に位置し、中国のワイン産地の中で最も北京に近い産地です。北京から西北に向かって車でおよそ1時間、高速鉄道でおよそ40分で着けます。交通アクセスが便利のため、週末気軽にワイナリーツアーができます。
気候風土
懐来(ファイライ)は燕山山地に位置し、南北から山に囲まれ、中心部は「V」字型の盆地になっています。平均標高は792m、最も低い場所は幽州村の谷で394m、最も高い場所は水口山で1977mです。北側からの洋河と西側からの桑乾河が盆地中部の官庁ダムで合流します。ブドウ畑は盆地中部の平坦地や官庁ダムの南部に集中していますが、一部の畑はあえて標高の高い北部の山麓に植えています。
気候は大陸性気候で、四季ははっきりと分かれています。年間の平均気温が9.1℃ですが、夏は暑く、最高気温が40℃超えまで上がります。また、冬の最低気温が-20℃ほどまで下がり、垣根の土寄せは欠かせません。中部にある官庁ダムは蓄熱の作用を果たし、温度差を和らげる効果があると考えられます。
懐来(ファイライ)の緯度は北緯40°で、スペインのマドリードやイタリアのナポリとほぼ同緯度です。年間の日照時間は3000時間ほどあり、山形県(北緯37°~39°)の年間1600時間に比べると比較的に多いです。年間の降水量は400mmぐらいあります。中国のワイン産地の中でよほど乾燥な産地ではないが、官庁ダムの西南側に80haほどの天然砂丘があります。未だに成因は不明だが、数多くの映画ロケ地として人気な観光スポットになっています。
歴史
懐来(ファイライ)でブドウ栽培とワイン醸造の歴史は1000年前まで遡ることができます。史料によると13世紀頃に懐来の周辺ですでにブドウ栽培が盛んでいると記載されています。また、懐来(ファイライ)では古くから「竜眼」ブドウが栽培されており、現在長野県善光寺の「竜眼」はこの地域から伝わってきたという説もあります。
現代において本格的にワイン生産し始めたのは1970年代からです。1976年に竜眼ブドウを使用して中国初の辛口白ワインを生産しました。1990年に中国初のトラディショナル方式によるスパークリングワインを生産しました。そして1999年に「中仏ブドウ栽培・ワイン醸造実証農場」という国家プロジェクトをきっかけにフランスのブドウ栽培とワイン醸造の技術を全面的に導入し始めました。
主なブドウ品種
また、2001年に懐来(ファイライ)で中国最初のマルスランを植え付けました。現在はマルスランをはじめ、黒ブドウはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、テンプラニーリョ、蛇龍珠(カベルネ・グルナッシュ)、ピノ・ノワールなど、白ブドウは竜眼、シャルドネ、リースリング、プティ・マンサン、ソーヴィニヨン・ブランなど多様なブドウ品種が栽培されています。現在懐来(ファイライ)のブドウ栽培面積はおよそ8000haで、41のワイナリーが集まっています。
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